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『換魂綺譚―アヴァタール』(テオフィル・ゴーチェ)



「入れ替わり」モノの調査とリスト化の盲点といえば、「転校生」以前の作品と男女間以外の作品、そして海外の作品だといっても差し支えない。

おそらく「入れ替わり」モノの研究が、TSFを中心になされたことや、「転校生」のイメージがあまりにも強くて、それ以前の作品がほとんど忘れ去られてしまったからではないかと思われるが、この点では、かの「入れ替わりマニアックス」はもちろんのこと、かつて存在した「てっつ庵」や「craft」も十分とは言えず、20世紀以降の作品、それも日本で翻訳された作品に限られていた。

そのせいからか、この作品は過去4度も刊行(収録)されたにもかかわらず、これらのサイトのリストにすら含まれず、話題に上ることもなかった。TSFのマニアもおそらく知らないのではないだろうか。それが、テオフィル・ゴーチェ(ゴーティエ)の小説”Avatar”(「化身」「権化」の意)だ。



換魂綺譚



本国では1856年に新聞に連載されたという。
現在、私が確認できる限りでは、欧米最古の「入れ替わり」モノだ。

ちなみに、この本は1948年、創元社刊(林憲一郎訳)。
百花文庫という、終戦直後に刊行されていた、文庫本より一回り大きい粗末な本だ。


内容は、世間が最も嫌う(?)男同士の「入れ替わり」。
それも絶世の美女に一目ぼれしたものの、その女性はすでに結婚していたということを知って、それ以来厭世的になってしまった青年貴族オクターヴと、彼の一目ぼれした女性プラスコヴィの夫オラーフが、オクターヴの治療のために、インドで修行をした医者〈魔術師)シェルボノー博士によって、半ば強引に魂を「入れ替えられる」いう設定。これじゃ「入れ替わり」の定番である、コメディーも期待できない。

訳者いわく「ゴーチェ的」だというが、私自身、ゴーチェの作品はあまり読んだことがないから、どこがどう「ゴーチェ的」なのかよくわからない。だが、この作品が書かれたころ、かの「おれがあいつであいつがおれで」や「転校生」はもちろんのこと、欧米の「入れ替わり」モノの名作であるF・アンステイの”Vice Versa”やメアリー・ロジャーズの”Freaky Friday”もまだなかっただけに、現代の「入れ替わり」モノに慣れ親しんでいる私にとっては、どこか斬新に見えてくる。


「入れ替わり」モノの歴史を語るうえでも欠かせない作品だが、旧字体と差別用語には悩まされた。
それがかえって「周囲からおかしいと思われる」ということをいっそう強調しているようにも思えるのだが、さて、ほかの三つの版(『ゴーティエ幻想作品集』『テオフィル・ゴーチェ小説選集』『変化 フランス幻想文学』)はどうなっているのやら。検証したいが、金がない…。

それだけ、この作家の作品は絶版が多く、古書価格も高いってことです(笑)











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超世界への旅 日本のSF短編集

気がつくと、このブログも一年以上更新していなかった。

その間といえば、卒論と「TS解体新書」の記事の執筆に没頭していた。つまり、忙しくて、ブログに手が回らなかったわけだ。

とはいえ、大学も無事に卒業し、もらった祝金で4冊ほど「入れ替わり」モノを買った。
すべてクロエさんのサイト「入れ替わりマニアックス」のリストには掲載されていない本で、うち3作品は作品自体、リストされていない。いずれ、このブログで紹介することとしたいが『転校生』よりも前に発表された作品であることはいうまでもない。

超世界への旅表紙


今回紹介したいのはSF少年文庫の一冊「超世界への旅 日本のSF短編集」(1972年 岩崎書店)。
この作品は、以前にも取り上げた、光瀬龍の「あばよ!明日の由紀」の単行本初収録のバージョンだ。

SF少年文庫は1970年から73年にかけて、岩崎書店から刊行された全30巻からなる児童向けのSFシリーズで、これは17巻目。当時存命中だった国内・海外のSF作家の作品をはじめ、ウェルズやベリャーエフなどといった古典的SF作家の作品や短編を含んだバラエティ豊かなシリーズで、1986年と2005年~2007年の2度再刊行されている、児童向けのSFシリーズの傑作だ。

このシリーズは、当時は学校の図書館にもよく置かれていたようで、そのせいか、図書館の除籍本をわりと見かける。それだけに、今の40代以上の人なら、背や表紙に書かれた「SF少年文庫」というロゴに見覚えがある人や、その当時読んだ人だって少なくないだろう。
しかし、もともと図書館や学校向けに販売されたものなので部数も多くないし、児童書ということもあって、函やカバーが欠けていることも少なくない。実際、このシリーズの前半15巻の初期バージョンの函付きともなると、1万円を超えることもあるようだ。


ちなみに、私が入手したのは1980年発行の重版(第8版)でカバー欠。とはいっても、この巻は案外見かけないように思う。ちなみにこの巻以外で案外見かけないのは、メレンチェフの『宇宙紀元ゼロ年』や草川隆の『まぼろしの支配者』などが挙げられるだろうが…。


説明が長くなってしまったが、本題に移ろう。
ストーリーは前にも話したので、今回はイラストについての評論だけとしたい。

IMG_0001 (2)


同作の部分の挿絵は5枚(扉含む)。
ソノラマ文庫版『あばよ!明日の由紀』と同じく、古田足日の小説「大きい1年生と小さな2年生」の挿絵で有名な中山正美によるものだ。

IMG_0003.jpg

ソノラマ文庫版に比べ、幾分やわらかいタッチで描かれているとはいえ、由紀の目つきや服装などがいかにも不良少女らしくみえる。


そして、極めつけはこのイラスト!

IMG_0002 (3)

由紀になった章二が、由紀の家で、自分の姿を確認する場面。
今、まさにズボンを脱ごうとしている様子が描かれている。
初出にはあるかもしれないとは思っていたが、まさか単行本収録時にもあったとは…。


もともと「高1コース」という雑誌に連載された作品というだけに、小学校高学年~中学生向けの児童書に収録されているのが不思議な感じもするのだが、それはともあれ、こういったシリーズに掲載されたということは、いかに「入れ替わり」という設定がSF的かつ、特徴的なものに映っていたのかを感じさせられる。それだけに、「転校生」以前の男女入れ替わりものとしては「あべこべ玉」や「へんしん!ポンポコ玉」に並ぶ名作といってもいいかもしれない。

ちなみに、この本にはこの作品を含めて10の短編が収録されているが、その他の収録作品などについては、下記のサイトを参照。

http://www.ac.auone-net.jp/~oknehira/chousekai.htm





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Author:ウラックマ
「ありえる”かもしれない”未来~入れ替わりがもし本当にできたら~」を掲載しているウラックマです。この第2ブログの内容は、「入れ替わり」を扱った作品についての紹介と分析です。

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